(※毎年8/15前後に、平和への願いを込めた日記を掲載させて頂いています。)

風が吹くとき デジタルリマスター版 [DVD]

風が吹くとき デジタルリマスター版 [DVD]

1987年に日本でも一般公開された「風が吹くとき」を、先日衛星放送でオンエアしていましたね。

原作者のレイモンド・ブリッグスのことは、「さむがりやのサンタ」など、そのほのぼのとしたユーモラスな作風のファンで、大好きでした。

この作品も映画館でリアルタイムで鑑賞した記憶があります。(デヴィッド・ボウイが主題歌を歌うなど音楽ファンの間でも話題になりましたね。)

イギリスの郊外に隠居し、平凡ながら幸せに暮らす老夫婦…戦争が始まり、核爆弾が投下され、爆心地より離れていたので直撃は避けられたものの、おもちゃのような核シェルターで、いつか援助がくると信じ続けながら、やがて衰弱して放射能にむしばまれて死んでしまう…

Hush-a-bye baby, on the tree top
When the wind blows the cradle will rock
When the bough breaks the cradle will fall
Down will come baby, cradle, and all.

(おやすみ 赤ちゃん、木の上で…
風が吹くとき ゆりかごが揺れる
枝が折れたら ゆりかごが落ちる
赤ちゃんも ゆりかごも みんな落ちる…)

レイモンド・ブリッグスは、マザーグースの詩の一説を引用した作品のタイトルをつけることで、当時の世界情勢の一触即発の緊張感や、核戦争の恐怖になぞらえたかったのでしょう。

「赤ちゃん」は、私たち人間や、地球上のあらゆる生きとしいけるもの。
「ゆりかご」は、私たちの住むこの世界。
「枝を折る風」は、私たちの日常を全て破壊するすさまじい爆風…。

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アメリカでは、「核のない世界を!」と宣言する大統領が誕生し、9.11以来、憎しみの連鎖にとらわれていた世界にも、平和を真剣に考えようとする「新しい風」が吹き始めているといえます…。それは、本当に素晴らしいことと思います。

日本でも、政治の世界で、従来と違う大きな風が吹きそうな気配です。大きな変革があるか、ないか…それは今の段階ではわかりませんが、仮に大きな変革があり、それが私たちにおおむね好ましいものだったとしても…

決して、憲法第9条を改憲(改悪)し、軍事力や、保有した核の恐怖で自国や、他国のひとびとを脅かすことを 正当化する変革があってはならない。

レイモンド・ブリッグスが伝えようとした、核の恐怖と悲惨さを、どこの国よりも身をもって知り、他国にも訴えていく義務があるのは、被爆国である私たち日本人のはずです。

そう自分に決して忘れないよう言い聞かせ、難しいことですが、21世紀という時代を、次の世代に受け継ぐ一人としての責任を果たしていけたらと思います。

ふたたび、「風」を間違った方に、吹かせないためにも。

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風が吹くとき

風が吹くとき

 

 

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