めぐり逢わせのお弁当 Blu-ray

めぐり逢わせのお弁当

先日、梅田スカイビルの中にある映画館、シネ・リーブル梅田で観たインド映画。

母のお伴で、なんの予備知識もなく行ったのだが、あぁ…久々に良い映画を観たなぁ、観に行って良かったなぁと思った。

自分がネタバレにむっちゃ弱いたちなので、ストーリーにはあまり触れないが、観終わったあと、エンドロールが終わるまで静かな感慨にふけることができた映画は何年ぶりだったろう。

単純な自分は、ハリウッド映画やディズニー映画、日本映画の大作でも、もちろん楽しめるし感動はするけれど…

それら超メジャーな作品には、なんだか、映画の作り手の世界観に「ついて来い!」とぐいぐい牽引されている気がして、「さぁ映画を観るぞ!」的な気合が必要で…観終わったら、どっと疲れてしまうというのが最近の傾向だった…これも歳かのう…(T T)

でも、この作品は…何と言ったらいいか、本当に自然だった。むしろ、映画を観ていることを忘れてしまう位だった。日本とインドという文化の違いはあるけれど、全く気にならないほど、すぅ~っと物語の中に入って行けたのだ。

登場人物一人一人のささやかな日常を、愛おしむような目線。それぞれが抱える悩み、寂しさ、小さな期待や切なさ、ときめき…それは、誰もが生きていく上で抱くであろうごく普通のものだけれど、それを抱きしめ、優しい光を当てて、こんな素敵な映画にしてしまったのだ。

かといって、決して退屈な映画ではない。過剰に盛り上げる場面などはないが、クスッと笑ってしまうユーモアも散りばめられているし、何より、カメラワークが美しい。場面ごとの美しさにハッとさせられながら、彼らの揺れ動く心の琴線に、こちらの心もだんだん同期していく。

主人公の2人の俳優さんたちも、決して派手ではないけれど、「インドの人って綺麗だなぁ…」とうっとりしてしまう、清楚な美しさの魅力的な人たちだ。

ラストシーンも、とても素敵だった。

ストレス解消のために、刺激的な映画を観るのも楽しいけれど、ときには、抒情的な美しさに心ときめかしたい、というあなたに、お勧めしたい映画である。