現在自主録音中の曲のラフ・ミックスをMDに落として、ウォークマンでヘヴィ・ローテーションで聴いております。(まるで親バカ?)

以前、前身バンドにて共演して下さった東京のカッコいいメロディアス・ハードのバンド、WIREDのメンバーの方に、打上でこう指摘されたのを覚えています。「どうして、怒りの表現ばかりなのかなぁ?バンドの曲調もあるんだろうけど、もう少し、自然な感情の表現があってもよいのでは?せっかくいい声してるし、魅力的なのに(うっうわぁ~!もったいないほめ言葉ありがとうございます状態でした!)なんか、等身大の自分の感情の動きに、シャッター降ろしてシャットアウトしてるような印象を受けるよ。」と。

ライヴのアンケートでも、「かまれそう」とか「豹みたい」とか「コブラがシャ~ッって感じ!」とか肉食獣か爬虫類扱いの感想も多かったです・・・。(泣)

その「牙」こそが、自分のヴォーカルにとって最大の魅力だったし、それがあってこその自分だとずっと思っていました。もちろん現在でも、「牙」は無くしていませんし、その面の表現で引けをとらない自信はあるのですが・・・。

今回のレコーディングでは、武装解除(?)してみたのです。気負いや防御や、攻撃性をとっぱらった、素の自分の声。怖かったです。まるで武器をとられて、荒野に放りだされたような。でも、その怖さと向き合いました。自然に、抑えていた自分の感情が紡ぎだされてきた感じがしました。

録音された自分の歌を聴いて、「自分の本当の気持ち」に向き合えた気がして、恥ずかしいのですが、初めて自分のヴォーカルが愛おしい、と思えたのです。音程が外れているとか、リズム感がおかしいとか、今までは聴くたびにそんなことばかり思っていたのに。

初めてこの曲に出会ったとき、前身バンドでの曲と全く(180度?)違うタイプの曲だったのに関わらず、心にすっと入ってくる感じで、歌メロと歌詞をつけるのにすこしも不安を感じませんでした。

自分の素直な感情を、この曲で表現してみたい。心からそう思いました。

現実の世界ではさまざまな常識や、勝手に自分の築いたルールや、傷つかないよう防御する心が働いて、素直な心の表現をできる機会って少ない場合も多いのでは。

ヴォーカリストとして、自分の本当に素直な気持の表現の場を与えられ、その表現の素晴らしさに気付けた自分は、本当に幸せなのだと思います。