奈良、興福寺の宝物殿の阿修羅像が好きです。

写真ではなく、現実で見たとき、なぜか目を離せず、その場をしばらく離れることができませんでした。

破壊の神。邪悪の神。

一方で、釈迦の守護神とされる神。

少年の瞳。静かな怒りをたたえながら、迷いと憂いを隠せない表情。

なぜか、時々すごく会いたくなって、そのためにだけ奈良に行き、しばらく像の前で佇んでしまうことがあります。

神々しさで圧倒するわけでももなく、癒しや安らぎ感だけを湛えているわけでもないのに。

本当に不思議な、まるで生きているかのような表情。心の対話を可能にしてくれるような、心を裸にする繊細な芸術の力。

本当に美しいと思います。