人は、生まれた場所からは、自由に動けるけれど生まれた時代からは、決して逃げることができない…

どこで耳にした、どなたの言葉か…はっきりとは覚えてはいないので恐縮ですが、とても心に残っている言葉です。

淡谷のり子さん…あれほど有名な方ですのに、その歌唱についてはあまり詳しくは存じ上げなくて、お恥ずかしいのですが…

太平洋戦争下の日本にあって、すでにスターの座を確立されていたそうですが、戦意高揚のための軍歌は歌わずあくまで己のスタイルであるブルースやジャズを歌いつづけた気骨ある方だという事を、最近知りました。

現在では想像できないような、暗い、恐怖に満ちた時代に芸人としての自分の生き方、美学を貫き、時代と対決したその姿勢…どれほどの勇気が要ったことでしょうか。

終戦から65年…

時代は、大きくうねりながら、変わっていくことでしょう。でもその舵を握るのは、私たちなのですよね。

この時代に流され、さまよいながらいまだ「ただ歌っている」だけにすぎない自分を省みて、この時代に歌うことって何なのか、あらためて自らに問いなおすことができたらなぁ…と思います。